【戦争レクイエムニュース】

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戦争レクイエムニュース
対談後、ロストロポーヴィチの墓参りした
小澤総監督
小澤 僕が初めて「戦争レクイエム」を聴いたのは、あなたのご主人のロストロポーヴィチに言われて、ニューヨークのカーネギー・ホールで、ブリテン指揮のオリジナル・キャストの公演を聴いた時でした。初めて指揮をしたのは新日フィルで、テノールとバリトンの語りが聴衆にそのまま伝わらなければならないと思い、それぞれのソロは日本語で歌うようにしました。

ガリーナ ブリテンは、彼の住んでいたオールドバラのフェスティバルで私の声を聞き、 その声をイメージしながら「戦争レクイエム」を作曲したそうです。 「戦争レクイエム」のソプラノ・ソロは、それまでのブリテンの作品とは全く異なる作風で、恐らく私の歌っているイメージが強く印象に残っていたからではないかと言われています。反戦というメッセージを込めて、一番戦争の被害を受けたロシア、イギリス、ドイツの民族のために作られた曲なのです。それなのに、当時のソ連政府の愚かさといったら信じられません。イギリス・コヴェントリーでの大聖堂献堂式において行われた「戦争レクイエム」の初演に、私は政府の方針によって参加を許されなかったのです。初演にロシア人である私が参加すれば、国家として「戦争を望まない、平和に暮らそう」というアピールができたのに。私が「戦争レクイエム」に出演できたのは、翌年のロンドンでの公演が初めてでした。

小澤 テノールとバリトンは敵として殺しあったイギリス人とドイツ人で、彼らが土の中で語っているんです。戦争はこれくらい悲惨なものなんだ、ってね。つまりこれは平和を訴える歌ではなく、戦争を批判しているんです。

ガリーナ なぜ同じ人間同士で殺しあわなければならないのかと、まるで彼らが眠っている地面から声が漏れてくるような印象がこの曲にはあります。彼らは土の下で眠っているけどその地面の上ではラテン語のレクイエムが鳴り響いているんです。

小澤 兵士が再び土の中から出てきて、神様に助けて下さいと「リベラ・メ」を歌うところはすごいですね。そしてコーラスだけで終わるというエンディングは本当に素晴らしい。 テーマももちろん重要だけど、音楽的に本当に深い作品です。

ガリーナ コーラスとソプラノが本当に美しいのです。ショスタコーヴィチは「戦争レクイエム」を聴いて、20世紀最大の傑作だと言いました。私もそう思います。

小澤 サイトウ・キネン・オーケストラは年に1回、世界のあちこちから集まってくる オーケストラで、みんな意志が強い。今回は合唱も松本でオーディションをして参加してもらう人達だから、普段はばらばらな人たちが集まってくる。そういう力をうまく使えばすごい力、違う味が出るんです。そういう意味で人種を問わずに反戦を歌っているこの作品は、サイトウ・キネン・フェスティバル松本にはぴったりの作品だと思います。僕もサイトウ・キネンの場合はこの一年どれくらいやったかというのを皆に見せるチャンスだから、ちょっと体調を崩していたりするとすぐに見抜かれるので、覚悟して挑まないとなりません。

*この対談は、長野朝日放送制作の番組撮影に際し行われたものです。 同番組は2009年12月に放映を予定しています。
*公式プログラムに、より詳しい内容が掲載されます。
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